血液内科について

タイトル:血液内科とは
血液内科とは
血管の中を流れる血液細胞の異常、その血液細胞を作っている骨髄の異常、リンパ節の異常、出血を止める働き(止血)の異常を扱う内科です。

具体的には、鉄欠乏性貧血、悪性貧血、溶血性貧血などの貧血、再生不良性貧血、急性あるいは慢性白血病、骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、血小板減少症、血友病などの検査・治療にあたります。
【血液内科にかかった方が良い症状】
白血球が多い・少ない、赤血球が多い・少ない、血小板が多い・少ない、リンパ節の腫大、脾臓の腫大、出血しやすい、血が止まりにくい、連日著明な寝汗をかく、造血幹細胞移植が必要と言われた など

【血液内科に関するコンテンツ】
▼血液内科の対象疾患について
急性骨髄性白血病 主な症状:貧血、感染、出血傾向
骨髄の中では造血幹細胞と呼ばれる「血液細胞の種」から様々な血球が造られます。白血球、赤血球、血小板などの血液細胞は生きていく上で不可欠な細胞です。白血球は細菌などからヒトを守る細胞、赤血球は酸素をあらゆる臓器、組織に運搬する細胞、血小板は出血を止める細胞です。
造血幹細胞が様々な細胞に成長していくことを「分化」といいます。急性白血病は、分化の速い段階で細胞が成長をやめてしまうことによっておこります。この成長をやめた細胞(白血病細胞または芽球と呼びます)が骨髄中で増殖し、骨髄を占拠します。その結果、正常な血液細胞が造られなくなり、出血、感染によって致命的な経過をとります。大部分の急性白血病の原因は不明です。
急性リンパ性白血病 主な症状:貧血症状、易感染性、出血傾向
急性リンパ性白血病(acute lymphoblastic leukemia: ALL)は、血液がんの一つです。小児に多く、成人では稀で1年間の発症率は10万人に1人程度と言われています。
骨髄の中では造血幹細胞と呼ばれる血液細胞の種である細胞から様々な血球が造られています。血球はヒトが生きていく上で不可欠な細胞であり、赤血球、血小板、白血球などがそれにあたります。赤血球は酸素を運ぶ細胞、血小板は出血を止める細胞、白血球は細菌などの病原体からヒトを守る細胞です。さらに白血球は大きくリンパ球と骨髄球の細胞に分かれます。
造血幹細胞が様々な細胞に成長していくことを分化と呼びます。急性リンパ性白血病では、リンパ球への細胞の分化の途中で異常が起こり、細胞が成長をやめてしまいます。この成長をやめた細胞(白血病細胞または芽球と呼びます)が骨髄中で増殖し、骨髄を占拠します。その結果として正常な血液細胞が造られなくなり、治療をしなければ、短期間でヒトの命を奪うことになります。
慢性骨髄性白血病 主な症状:全身倦怠感、脾腫、関節痛、発熱など。
血液を流れている白血球・赤血球・血小板などの「おおもと」の細胞を造血幹細胞といいます。慢性骨髄性白血病(CML)は、この造血幹細胞の遺伝子に異常が起こり、発症します。その結果、成熟した血球(特に白血球)が必要以上につくられますが、症状はほとんど出ません(慢性期)。
しかし、治療せずにいると、慢性期はやがて急性期に移行します。急性期では細胞の増殖だけではなく成長(=分化)にも障害がおこり、未熟で役に立たない血球(=芽球)が増加します。急性期に移行したCMLは極めて予後が不良です。
慢性骨髄増殖性疾患 主な症状:血栓、塞栓。疾患の後期には骨髄線維症に伴う血球減少による症状。
骨髄での造血が異常に亢進し、多くの場合は血球が増加します。増える細胞の種類により、真性多血症、特発性血小板血症、骨髄線維症に分類されますが、患者さんの生活の質を決定する点で重要なものに、血管の閉塞があります。動脈、静脈共に閉塞しやすくなり、特に心臓の血管で閉塞が起こると心筋梗塞につながりますので、現時点での治療の目的はこれら血管病変の予防に重点が置かれています。骨髄線維症は真性多血症や特発性血小板血症の進行期にも起こり、骨髄での造血が著しく損なわれ、血球減少をきたします。この場合には白血病などと同様に、感染や出血が起こりやすくなります。
骨髄増殖性疾患はそれ自体はがんではありません。しかしながら、一部の患者さんは急性白血病を発症することが知られています。遺伝子異常がさらに加わることで細胞のがん化が起こってくると考えられますが、どの遺伝子が、どのような原因で白血病を起こしてくるのかは不明で、多くの研究者によって解明の努力が続けられています。
慢性リンパ性白血病 主な症状:リンパ節腫大、肝脾腫、貧血、全身倦怠感
慢性リンパ性白血病(CLL)は、ヒトを感染から守る役割を担う成熟した小型のBリンパ球が、自分勝手の増殖する病気です。CLLは非常にゆっくりとした経過をとることが多い病気で、一般的には50歳以降の中高年に多く、女性よりも男性に多いのが特徴です。欧米では最も頻度の高い白血病ですが、我が国では稀な疾患でした。しかし、最近では、その患者さんの数は我が国でも増加傾向にあります。
骨髄異形成症候群 主な症状:貧血、感染、出血傾向。症状がなく偶然見つかることもあります。
私たちの血液の中には赤血球・白血球・血小板という細胞(あわせて血球と呼びます)があります。白血球には好中球・リンパ球などがあり、体に侵入した細菌やウイルスなどの異物を殺す働きがあります。赤血球は肺から色々な組織に酸素を運びます。血小板は出血を止める働きをします。このような様々な血球は、骨の中にある骨髄という場所で作られます。骨髄には造血幹細胞という血液のもとになる細胞があり、赤血球・白血球・血小板のすべてを作り出しています。造血幹細胞は一生涯にわたり血球を作り続けますが、何らかの理由で正常な血球を十分に作ることができなくなると、貧血・白血球減少・血小板減少をきたします。
骨髄異形成症候群(略してMDSと呼びます)は、造血幹細胞の異常によって起こる病気です。具体的には、造血幹細胞が成熟した血球に順調に成長できなくなり、結果として白血球減少、貧血、血小板減少が起こります。また、MDSの患者さんの骨髄と末梢血(血管を流れる血液)に、成長障害の程度を反映して未熟な血液細胞(芽球と呼びます)がさまざまな割合で見られます。MDSは骨髄と末梢血中の芽球の割合などによりいくつかの病型に分類されます(表1)。芽球の割合が多ければ多いほど、病状は進んでいると判断されます。芽球の割合が低いもの(5%未満)は、不応性貧血・不応性血球減少症と呼ばれます。これに対し芽球の割合が高いもの(5~19%)は、芽球増加型不応性貧血と呼ばれます。なお、芽球の割合が20%以上になった時点で、MDSではなく急性骨髄性白血病に移行したと診断します。このようにMDSは白血病とはまったく異なる病気ではなく、両者は密接な関係があります。またMDSは単一の病気ではなく、様々な種類があり、同じ病気でも進行の速度や特徴が変わってきます。
真性赤血球増加症・本態性血小板血症 血液中を流れる主な細胞は、赤血球、白血球、血小板ですが、これらの血球は、骨の中の骨髄という組織で、造血幹細胞(ぞうけつかんさいぼう)という細胞から作られます。この造血幹細胞に異常が起こり、必要がないのにもかかわらず、これらの血球がどんどんと産生される病気を骨髄増殖性腫瘍(myeloproliferative neoplasms:MPN)といいます。
MPNの中にあって、主に赤血球が増える病気が真性赤血球増加症(Polycytemia vera:PV)、主に血小板が増える病気が本態性血小板血症(Essential thrombocythemia:ET)です。PVは真性多血症(しんせいたけつしょう)とも呼ばれます。PV、ETいずれも、100万に数人の割合で発症するまれな病気で、なぜ起こるかはいまだに分かっていません。しかし、遺伝性疾患ではないので、子孫に影響することはありません。診断時の平均年齢は、60歳で、20歳未満の人にみられることはめったにありません。PVは男性に多くみられ、ETは女性に多くみられます。
骨髄線維症 血液中を流れる細胞成分(血球)には白血球・赤血球・血小板の三種類があります。これらの血球の種となる造血幹細胞(ぞうけつかんさいぼう)は、骨の中にある骨髄と呼ばれるスポンジ状の組織の中で育ち、3種類の血球を日々生み出しています。骨髄線維症は、その中でも特に血小板や白血球の増殖が盛んになり、その結果骨髄の線維化が進んでしまう病気のことです。線維化する原因により、原発性・二次性に分かれます。原発性は、造血幹細胞そのものに異常が起こることで線維化が進む病態、二次性は、骨髄異形成症候群などの何らかの基礎疾患が原因となる病態を指します。いずれの場合にも、スポンジ状の骨髄が線維で埋め尽くされて固くなり、3種類の血球がうまく育つには不適切な環境となります。
ほとんどの患者さんは、まず貧血(赤血球が不足した状態)になります。さらに線維化が進むと、やがて白血球や血小板も作られづらくなり、白血球不足による免疫不全状態(感染症に罹りやすい状態のこと)、血小板不足による出血症状が問題となります。また骨髄の線維化が進むと脾臓が大きくなり、お腹の張りや痛みの原因となります。病気の進行に伴い、白血病を発症することもあります。
悪性リンパ腫 主な症状:リンパ節腫大、肝脾腫大、発熱
ヒトには感染や異物(がん細胞など)から体を守っているリンパ系組織(=免疫システム)があります。この組織を構成しているリンパ球が必要ないのに異常に増える病期が悪性リンパ腫です。
悪性リンパ腫にはさまざまな病型があり、症状や治療法はそれぞれ異なりますが、大きくはホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に分けられます。非ホジキンリンパ種は、さらにB細胞リンパ腫とT細胞リンパ腫に分けられます。また、非ホジキンリンパ腫は臨床的には病期の進行の速さによって分類されます。
悪性リンパ腫が発症する原因としては、ウイルス(EBウイルスなど)、細菌(ピロリ菌)、自己免疫疾患(関節リウマチなど)、免疫不全を引き起こす薬剤治療(メトトレキサートなど)、化学物質への暴露があげられますが、原因が明らかではない場合も少なくありません。
多発性骨髄腫 主な症状:貧血、易感染性、出血傾向、骨痛、骨折、腎不全
ヒトの体には形質細胞という細胞があり、免疫グロブリンと呼ばれる蛋白を作っています。この蛋白は細菌、ウイルスなど体内に侵入してきた異物を攻撃します。
多発性骨髄腫とは、1つの形質細胞が必要ないにもかかわらず、増殖し1種類の免疫グロブリンを産生する病気です。増殖する形質細胞(=骨髄腫細胞)から産生される免疫グロブリンをM蛋白と呼びます。稀に30歳代あるいは40歳代の比較的若い方に発病することもありますが、年齢の高い方に多い病気であり、診断時には、多くの場合60歳以上です。
キャッスルマン病 キャッスルマン病は、1956年にベンジャミン・キャッスルマン博士らによって報告された疾患で、血液学的にはリンパ増殖性疾患に分類されます。さらに、キャッスルマン病は、身体の一部のリンパ節が腫脹する限局型と、全身のリンパ節が腫脹して発熱や肝脾腫を伴う多発型があります。キャッスルマン病では、リンパ節、肝臓、脾臓でBリンパ球が増殖すると同時にそのリンパ球からインターロイキン-6(IL-6)という蛋白質が過剰に分泌されさまざまな症状を呈します。
再生不良性貧血 主な症状:貧血、感染、出血傾向
再生不良性貧血とは、骨髄にある造血幹細胞と呼ばれる血液細胞の種が減少することにより、白血球、赤血球、血小板といった血液細胞のすべてが減少する病気です。白血球は細菌などから身体を守る細胞、赤血球は肺から取り込んだ酸素を臓器に運搬する細胞、血小板は出血を止める細胞です。医学的にはこのような状態を汎血球減少(はんけっきゅうげんしょう)といいます。
発作性夜間ヘモグロビン尿症 発作性夜間ヘモグロビン尿症(paroxysmal nocturnal hematuria; PNH)(別名:発作性夜間血色素尿症)は、すべての血球の種である造血幹細胞に、後天性に生じた遺伝子異常が原因で起こる病気です。この遺伝子の異常により、赤血球が体の中で壊されやすくなります。特に寝ている間に赤血球の破壊(溶血)が進み、早朝の尿が黒くなることがあります。
PNHの主な症状は貧血症状と早朝の黒色尿ですが、患者さん毎に症状が異なります。また慢性的な溶血により、様々な臓器に障害がでる場合があります。100万人に数人しか発症しない稀な病気で、日本において診断される患者さんの平均年齢は40歳代です。
鉄欠乏性貧血 貧血とは、血液中の赤血球の数やヘモグロビン(Hb)の濃度が低い状態をいいます。鉄欠乏性貧血は、鉄不足が原因で起こる貧血です。赤血球は臓器や組織に酸素を運ぶ細胞で、その中にヘモグロビンというタンパク質が存在します。ヘモグロビンは、酸素濃度の高い組織で酸素と結合し、酸素濃度の低い組織で酸素を手放す特性があり、肺で取り込んだ酸素を体の隅々に運んでいきます。このヘモグロビンを作るには、鉄が不可欠です。鉄欠乏性貧血では、鉄分の不足によってヘモグロビンの合成が障害され、貧血が起きます)。
原因として、(1)胃や十二指腸の潰瘍・炎症・痔・癌などによる消化管からの出血、月経や婦人科疾患による出血(出血=ヘモグロビンとして鉄が失われます)、(2)偏食による鉄分の摂取不足、(3)胃・小腸切除や胃炎、鉄吸収を妨げる薬物などによる吸収障害、(4)からだの成長や妊娠に伴う鉄需要量の増大などが知られています。一般的に、若い男性では胃や十二指腸の潰瘍や痔、女性ではダイエットによる鉄の摂取不足や子宮筋腫による月経過多が原因となることが多く、さらに男性女性ともに中高年以降では、胃癌や大腸癌が原因となることがあり、注意が必要です。また近年、ヘリコバクター・ピロリ菌感染症の関与も指摘されています。
鉄以外の造血因子不足による貧血として、ビタミンB12や葉酸、腎臓から出るエリスロポエチン、銅など微量元素、内分泌系疾患によるホルモンの不足などがあります。
特発性血小板減少性紫斑病 主な症状:出血傾向
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は、血液中を流れる血小板が免疫の異常により減少し、出血しやすくなる病気です。
通常は外から侵入してくる細菌やウイルスなどを攻撃する働きをしている抗体という蛋白質が、自分自身の血小板に結合することで血小板が血液中から速やかに除去されその数が減少してしまうことで発症してしまうのです。どうしてこのような免疫異常が起きるかわかっていません。
ITPは急性型と慢性型に分類されます。急性型は風邪をきっかけに小児に発症することが多く、その9割が自然に治ります。一方、成人では、血小板数の減少が半年以上続く慢性型が多く発症します。国内には約2万人の患者さんがおり、厚生労働省から難病に指定されていますので、所定の手続きを経て申請が受理されますと、医療費の補助を受けることができます。
POEMS症候群 主な症状:手足のしびれ・脱力、手足の浮腫、胸水・腹水、皮膚が黒くなる、体毛が濃くなる
POEMS症候群は、骨髄の中にある形質細胞という細胞の腫瘍によって生じる病気です。 正常な状態では形質細胞は免疫グロブリンと呼ばれるタンパク質を産生し、ウィルスや細菌と言った外敵から体を守る働きをします。
しかし異常に増殖した形質細胞は異常なタンパク質(血管内皮細胞増殖因子)を産生し、手足がしびれたり力が入らなくなったりする末梢神経障害(多発性神経炎)、手足の浮腫、胸水・腹水、皮膚が黒くなったり体毛が濃くなるなどの皮膚異常など全身に様々な症状を引き起します。
成人T細胞白血病リンパ腫 主な症状:リンパ節の腫れ、肝臓・脾臓の腫大、皮膚紅斑・皮下腫瘤、下痢、腹痛
血液細胞のなかのリンパ球のうち、Tリンパ球が悪性化して、リンパ節や血液の中で異常に増加し、骨髄や肝臓、脾臓、消化管、肺、皮膚、脳など全身の臓器に拡がっていくものです。
成人T細胞白血病リンパ腫は、ヒトT細胞白血病ウイルスⅠ型(human T-cell leukemia virus type Ⅰ:HTLV-Ⅰ)の感染により引きおこされることが明らかになっています。HTLV-Ⅰに感染している人は、日本全国で約120万人(人口の約1%)と推定されており、九州、沖縄など南西日本に多いことが知られています。成人T細胞白血病リンパ腫を発症するのは、HTLV-Ⅰ感染者10,000人について年間6人あまりで、大部分の方はHTLV-Ⅰに感染していても成人T細胞白血病リンパ腫を発症しないことになります。なぜHTLV-Ⅰに感染している人が成人T細胞白血病リンパ腫を発症するのかについては、現在研究が進められていますがまだ十分に解明されていません。
骨髄増殖性疾患 骨髄の中にある造血細胞(前駆細胞)の成長や再生が過剰になったり、線維組織の過度の増殖によって造血細胞が骨髄の外に押し出されたりする病気です。一般には後天的な病気で、遺伝ではありませんが、それでもまれに家系内にこの病気になった人が複数みられることがあります。その場合でも、この病気自体が遺伝するというよりも、むしろこの病気になりやすい素因が遺伝すると言えそうです。
骨髄増殖性疾患には、大きく分けて真性赤血球増加症、骨髄線維症、血小板血症の3種類があります。造血細胞が異常増殖し始めても、癌になることはありません(良性腫瘍)。しかし、人によっては、骨髄増殖性疾患が進行したり、変化したりして、白血病のような癌(悪性腫瘍)になることがまれにあります。
自己免疫性溶血性貧血 主な症状:貧血、だるさ、動悸、息切れ、めまい、頭痛
自身の赤血球に結合する自己抗体(蛋白)ができて、赤血球が異常に早く破壊されておこる貧血です。いろいろな病型があり、原因もさまざまです。体温付近(37度)で抗体の結合が強いものを温式、体温以下(特に4度)で結合が強いものを冷式と呼びます。赤血球に自己抗体が結合し、補体(蛋白)と共同して血管内で赤血球を破壊するものと、自己抗体や補体を介して主に脾臓で破壊されるものがあります。
血友病 主な症状:皮下血腫、関節出血、関節症、粘膜出血、筋肉出血、血尿、頭蓋内出血
血友病は、先天性出血素因のなかで最も頻度が高く(男子出生1万人に約1人)、生涯にわたり皮下血腫ひかけっしゅ、関節出血、筋肉出血などの出血症状を繰り返す病気です。血友病A(第VIII因子欠乏症)と、血友病B(第IX因子欠乏症)の2種類があり、その発生比は約5対1です。
凝固因子欠乏症 主な症状:出血しても止まりにくくなる
血液を凝固させる因子が欠乏しているため、出血しても止血しにくくなる疾患。
血管が破綻(はたん)をおこすと出血が始まるが、やがて血液が固まって止血する。血液は、血管の中を流れている場合は固まることはないが、ひとたび血管の外に出ると凝固する。この血管外で凝固することが、出血時の止血機構としてたいせつなものであり、止血に関与しているのは、血管とその周辺組織、血小板と血液凝固因子の三者である。このうちのどれに異常があっても止血しにくくなる。血小板に異常があると、出血時間が延長するが、血液凝固因子が欠乏したときには、血液凝固時間が延長する。
血球貪食症候群 主な症状:発熱、汎血球減少、肝脾腫、倦怠感、リンパ節腫脹、腹水、出血
医学の発達に伴って明らかとなってきた疾患のひとつで、本来人間をまもるべきマクロファージや好中球といった免疫細胞が暴走し、自らの血球(とくに血小板)を食べてしまう病気である。小児で先に報告されたが、成人に起こることは現在ではわかっている。きわめて重篤な致死的疾患である。突然健常者におこることもある。
医療資格を取る
医療施設・病院で働く