新型コロナウイルスに効くと言われるアビガンとは?

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新型コロナウイルスに効くと言われるアビガンとは?

最終更新日:2020年5月8日

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、パンデミック(世界的な大流行)となり国際的な危機を引き起こしております。

日本政府は新型コロナウイルスの感染拡大に対応するため、治療効果が期待されるアビガンを年度内に200万人分備蓄すると報じました。

先に新型コロナウイルスの治療薬レムデシビルが2020年5月7日に特例として承認されましたが、ここでは臨床試験中のアビガンがどのような薬剤で、どのような効果が見込めるのかを説明しております。

Contents
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▼ アビガン(あびがん)とは
抗インフルエンザウイルス薬として国内で認可された薬剤のこと
アビガン(あびがん)とは

アビガンは2014年3月にウイルスのRNAポリメラーゼ阻害薬として、他の抗インフルエンザウイルス薬が無効、または効果不十分な新型(または再興型)インフルエンザウイルス感染症が発生した場合に投与が検討される医薬品です。
一般名はファビピラビルアビガン錠とも呼ばれております。

アビガンは、インフルエンザウイルスと同種のRNAウイルスである新型コロナウイルスに対しても効果が期待され、臨床応用への期待が高まっております。

アビガンの臨床試験(りんしょうしけん)
アビガンの臨床試験(りんしょうしけん)

新型コロナウイルス感染症の治療薬としては、レムデシビルが国内初の治療薬として特例承認しております。

さらに今後、治療薬として期待されているアビガンは、以前エボラ出血熱の感染拡大の可能性を踏まえて臨床試験が実施されたことがありました。
その際の用法・用量は、初日に1回分1,800mgを2回投与し、2日目以降は1回分800mg×2回を22日間投与し続け、安全性が確認されております。

これと同様に国内の臨床研究では、同じ用法・用量で新型コロナ感染症の臨床試験を開始しております。

米国でも投与時の治療効果と安全性を確認することを目的として、アビガンの臨床試験が実施される方向で進められております。

参考サイト:富士フイルム [日本]

新型コロナウイルスに効く可能性
新型コロナウイルスに効く可能性

アビガンはRNAポリメラーゼ阻害薬として、RNAウイルスを増殖させないための薬です。

インフルエンザウイルスやコロナウイルスも一本鎖のRNAウイルスのため、理論上では同じように効果が出ると期待されております。

アビガンの研究ではインフルエンザウイルス以外にも、エボラ出血熱やマールブルグ病など複数の感染症へ有効性を示す可能性があるとされてきました。

ただし新型コロナウイルス感染症は、既存の抗インフルエンザ薬にはない作用メカニズムを有しており、治療薬として期待されつつも、これまでのところ効果があるという結果となかったという結果の両方が報告されているようです。

ポイント

新型コロナウイルス感染症は既存の抗インフルエンザ薬にはない作用メカニズム

参考サイト:リーレクリニック大手町

▼ アビガン投与の副作用
アビガン投与の副作用

アビガンは抗ウイルス作用が確認されておりますが、動物実験において催奇形性の副作用も確認されております。他にも肝機能検査異常、尿酸値上昇、消化管症状、精神症状などの発生率が高いことも確認されております。

妊婦または妊娠している可能性のある婦人には影響が出る可能性が高いことに加え、アビガンの成分に対して過敏症の既往歴のある患者には投与が勧められておりません。

アビガンが新型コロナウイルスの救世主になる可能性はあるかもしれませんが、副作用である催奇形性の影響を受けやすい世代には、事前に説明して承諾を得なければならならず、実際の医療現場で使うには大きな課題がありそうです。

▼ ワクチン開発の現状と今後の見通し
ワクチン開発の現状と今後の見通し

新型コロナウイルス感染症は、国内で感染が確認された方の約80%が軽症であり、14%が重症、6%が重症化している状況です。

新型コロナウイルス感染症を早期終息させるためにもワクチンの開発は欠かせませんが、臨床試験から実際にワクチンの効果が見込まれるのは1年から1年半と言われております。

ワクチンの技術はこの10年で飛躍的に進化しておりますが、臨床試験において安全性と効果を慎重に見極めるため、莫大な費用と時間がかかります。

ワクチン開発の現状と今後の見通し2

ワクチンが医療機関で受診できるようになっても、ほとんどの方は新型コロナウイルスに対する免疫がないため、2回のワクチン接種を必要とする可能性が高く、本当の意味での終息は来年以降になるかもしれません。

参考サイト:AnswersNews

▼ まとめ
まとめ

新型コロナウイルス感染症の治療薬として期待されているアビガンは、治療の面からは一定の効果が見込めそうですが、副作用によるマイナス要素が大きく治療薬としては慎重にならざるを得ません。

治療薬やワクチンに注目が集まっておりますが、何より大切なことは「密集」「密閉」「密接」の3密を避け、ウイルス感染予防である手洗い・うがい・アルコール消毒・咳エチケットを励行することです。

ポイント

3密を避けて感染症予防を怠らないこと

アビガンの治療効果に期待はしつつも、まずは感染をしない・させないことを努めるようにしてください。

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