毎年の健康診断で要再検査や要経過観察と書かれていても、自覚症状がなければ放置してしまうことは少なからずあると思います。
検査結果に現れるわずかな異常は、体からの“静かなサイン”の可能性があります。例えば血糖値の上昇や肝機能の異常、血圧の変動などは、放っておくと動脈硬化や糖尿病、脂肪肝などの慢性疾患につながる可能性があります。
ここでは、健康診断で見逃されやすい代表的な数値と、そのまま放置することで生じてしまう健康リスクについて、内科的な視点からわかりやすく解説しています。再検査を迷っている方こそ、ぜひ参考にしてください。
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▼ 要再検査や要経過観察の意味
要再検査とは?


要再検査があった場合は、血圧や血糖値、肝機能、脂質などの数値が基準を超えていたり、尿検査や心電図に異常が見つかったりする場合があります。再検査の目的は、病気の兆候があるかもしれないので精密検査で詳しく調べましょうというスクリーニング的な意味合いがあります。
この時点では必ずしも「病気がある」と断定されたわけではありませんが、放置することで病気の発見が遅れたり、健康リスクを見過ごすことにつながる可能性もあります。特に生活習慣病の初期段階では自覚症状がまったくないケースも多く、定期的な検査で数値の変化を見逃さないことが重要です。
要経過観察とは?


健康診断の結果に要経過観察があった場合は、現時点では病気とは言い切れないが、放置すると将来的に疾患に進行するおそれがあるというサインでもあります。
要再検査は今すぐ調べる必要がありますが、要経過観察はこの先の変化に注意しつつ様子を見る段階です。ただし定期的な受診や生活習慣の見直しが求められる点では共通しており、放っておくと悪化してしまう可能性がある点に変わりはありません。
同じ項目で何年も要経過観察とされている場合は、数値の推移や傾向そのものが体の異変を示している可能性もあります。自己判断に頼らず、医師のアドバイスを受けながら必要に応じて検査や治療を受けましょう。
記載例の多いもの | |
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異常なしでも安心しきってはいけない理由


健康診断の結果に問題がなかった場合でも、それが絶対的な健康証明書とは限りません。
健診は限られた検査項目とタイミングで身体の状態をチェックしており、症状のない病気や進行途中の異常は見逃される可能性があります。例えば高血圧や糖尿病の初期段階では、1回の健診だけでは基準値に収まってしまうこともあります。他にも腫瘍マーカーや画像検査が含まれていない健康診断では、がんの早期発見は難しいケースもあります。生活習慣病などは数年かけて徐々に悪化する傾向があり、数値の微妙な変化を見逃さないことが大切です。
▼ 放置されやすい代表的な検査項目とリスク
高血圧(血圧の異常)を放置した場合


高血圧は、日本人に非常に多く見られる生活習慣病のひとつです。健康診断で上の血圧(収縮期血圧)が140mmHg以上、または下の血圧(拡張期血圧)が90mmHg以上と判定された場合、高血圧の疑いありとして要再検査や経過観察の対象になります。
高血圧は自覚症状がほとんどないまま進行します。慢性的に血圧が高い状態が続くと、血管に強い負担がかかり、動脈硬化を進行させる原因となります。
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これらの疾患は、高血圧を適切にコントロールしていれば予防できるケースも多いです。高血圧を指摘された場合は、日常的な血圧の変動や生活習慣(塩分・運動・ストレスなど)にも注意を払い、早期の受診と対策が重要です。
血糖値の異常(空腹時血糖・HbA1cなど)


健康診断では、空腹時血糖やHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)といった項目で血糖の状態を確認します。空腹時血糖が110mg/dL以上、HbA1cが5.6%以上などの場合、血糖値が基準値を超えている可能性があり、糖尿病予備群や糖尿病の疑いありとして再検査や経過観察の対象になります。
血糖値の異常も、初期にはほとんど自覚症状がないため見逃されやすいのが特徴です。
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さらに糖尿病は動脈硬化のリスクも高め、心筋梗塞や脳卒中にもつながる深刻な疾患です。血糖値に異常がある場合は早期の受診と生活習慣の見直しが重要です。特に家族に糖尿病の方がいる場合は、遺伝的なリスクもあるため慎重に対応しましょう。
脂質異常症(LDL・HDL・中性脂肪)


脂質異常症は、血液中の脂質バランスが崩れた状態を指します。健康診断では、主にLDLコレステロール(悪玉)、HDLコレステロール(善玉)、中性脂肪(トリグリセライド)の数値で評価され、いずれかが基準値から外れていると再検査や経過観察の対象になります。
脂質異常症もまた、自覚症状がほとんどないまま進行しやすいため、気づかぬうちに体内で重大な変化が起きていることがあります。
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さらに中性脂肪の増加は内臓脂肪型肥満やメタボリックシンドロームとも関係し、生活習慣病の引き金となることもあります。脂質異常症は、食事・運動・禁煙などの生活改善によって改善しやすい病気でもあります。健診で指摘された場合は放置せず、必要に応じて内科での再検査と具体的な対策を検討しましょう。
肝機能(AST・ALT・γ-GTPなど)


肝機能は、血液検査のAST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPなどの数値により評価されます。これらは肝臓の細胞がダメージを受けたときに上昇する酵素であり、異常があれば肝臓に何らかの障害が起きている可能性があります。
肝臓は、沈黙の臓器と呼ばれるほど異常があっても症状が出にくい臓器です。もし健康診断で肝機能の異常を指摘された場合、体調が問題なくても速やかに精密検査を受けることをおすすめいたします。
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また、γ-GTPが高い場合は過剰な飲酒や薬剤の影響が疑われることもあり、生活習慣の見直しが必要です。肝機能異常は、放置すればするほど回復が難しくなるケースがあるため、健康診断で指摘された場合は必ず再検査を受け、必要であれば超音波検査(腹部エコー)などの追加検査も検討しましょう。
尿酸値が高い場合


尿酸値が高め指摘された場合は、体内に尿酸が過剰に蓄積されている状態(高尿酸血症)です。尿酸値が7.0mg/dL以上になると、要再検査や経過観察の対象になることが一般的です。
高尿酸血症を放置した場合に最も知られているのが、激しい関節痛を伴う痛風発作です。尿酸が関節内に結晶としてたまり、突然の腫れや強い痛みを引き起こすこの症状は、一度発症すると繰り返しやすく生活の質を著しく下げる要因となります。
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また、尿酸値は肥満・食生活(プリン体の多い食事やアルコール)・ストレスとも密接に関係しており、放置することで全身の代謝バランスに悪影響を及ぼすことがあります。症状が出なくても、食事や体重管理とあわせて医療機関での再検査・指導を受けることが、将来の健康リスクを下げる第一歩です。
▼ 再検査を受ける理由と放置が危険な理由


日常の忙しさや、症状が酷くないからと判断してしまい、放置してしまう人は少なくありません。病気の初期段階こそ自覚症状が出にくいことが多いため、再検査の重要性は見逃すことはできません。
例えば高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病はサイレントキラーとも呼ばれ、気づかないうちに進行し、ある日突然、脳卒中や心筋梗塞といった深刻な病気を引き起こすことがあります。
検査で異常なしと再確認できれば安心にもつながり、今後の生活習慣の指針にもなります。再検査は、今ある“かすかなサイン”を見逃さず、将来の病気を未然に防ぐための大切なステップです。少しでも気になることがある場合は、ためらわず医療機関を受診しましょう。
▼ 再検査の受け方と流れ
ここでは、再検査を受けるまでの基本的な流れをご紹介します。
1. 健診結果を確認し、再検査項目を把握する | |
まずは、健康診断の結果票をよく読み、「要再検査」となっている項目を確認します。 どの数値がどれだけ基準を超えているのか、どの検査が再確認対象なのかを把握しておきましょう。 |
2. 医療機関に相談・予約する | |
再検査は通常、内科やかかりつけ医で受けることができます。 もし特定の病気が疑われる場合は、循環器内科・糖尿病内科・消化器内科などの専門科の受診が勧められることもあります。 予約の際には「健診で再検査が必要と言われた」と伝えるとスムーズです。 |
3. 健診結果票を持参する | |
受診時には、健康診断の結果票を必ず持参しましょう。 医師が過去の数値や傾向を確認することで、適切な検査や判断がしやすくなります。 |
4. 必要に応じて精密検査を実施 | |
再検査の内容は、基本的な血液・尿検査に加え、以下のような追加検査が行われることもあります。
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5. 結果に応じて治療または経過観察へ | |
再検査の結果、異常が認められた場合は治療が開始されます。 また治療までは不要でも、生活習慣の改善や定期通院が勧められるケースもあります。 |
▼ まとめ


健康診断は、現在の身体の状態が良好なのか悪化しているのか判断するうえで大切なです。異常値がなくても、放置によって重大な病気を見逃したり、発見が遅れたりするリスクがあります。特に高血圧・糖尿病・脂質異常症・肝機能障害・高尿酸血症といった生活習慣病は、初期にはほとんど自覚症状が現れないため、健康診断での数値は重要なヒントになります。
再検査は決して特別なことではなく、将来の重症化を防ぐための早期対応のチャンスです。先延ばしにせず、健診結果をきっかけに医療機関で再確認を受けておくようにしましょう。