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熱中症と夏血栓
▼熱中症(ねっちゅうしょう)とは?
高温多湿の環境下において身体が適応できない場合に起こる症状のこと
暑さ対策はできている?

熱中症は、湿気の多い梅雨どきから、気温の高くなる真夏に最も患者数が多いといわれています。

湿気が多い時期に、気温が上昇することで、身体が暑さへの対応に追いつかず、体温調節が不十分になり、体調を崩し、具合の悪くなる症状がよく見られます。

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熱中症が起きやすい環境

熱中症には、日常生活の中で発症する「非労作性熱中症」と、運動や仕事をしている中で発症する「労作性熱中症」に分けられます。

外出をしなくても室内で発症する場合がありますので、以下のような環境下では注意が必要です。

  • 前日よりも大幅に温度が上昇した日

  • 湿度が多い

  • 室内と外の気温差があり、急に暑い場所に出たとき

  • 暑い場所での長時間の運動や仕事

  • 風通しがない場所

  • 水温と気温の合計が65℃をこえてしまうプールや海水浴

  • 日光が照り返す場所

  • 長時間のサウナ

  • 剣道やフェンシングのような熱を逃がしにくいスポーツ

また、駐車している車内も注意する必要があります。

暑さ指数とは?

日常生活において、熱中症の危険度を表した「暑さ指数(WBGT)」というものがあります。
暑さ指数を参考にしていただき、熱中症のリスクに備えるようにしましょう。

暑さ指数…湿度・日射、輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境・気温を取りいれた指標のこと

以下は、WBGT値と気温、相対湿度を表した表です。

※危険・厳重警戒などの分類は、日常生活上での基準であり、労働環境によっては熱中症予防の基準には当てはまらないことがあります。

出典:環境省 熱中症予防情報サイト

▼夏血栓(なつけっせん)とは?
夏場に多く発症する血栓のこと
診療室

血栓は、血管内の血液が何らかの状況下で塊を形成し、血液の流れを阻害します。
血栓ができてしまうと、虚血(きょけつ)や梗塞(こうそく)が引き起こされ、心筋梗塞や脳梗塞、肺梗塞などにつながる恐れがあります。

具体的には、血管内の血液に含まれるタンパク質や血小板などが、高脂血症や脱水症状などで血液成分が変化してしまい、血管を詰まらせてしまうことで引き起こされます。

暑い時期は、脱水で血液がドロドロになりやすく、血栓ができやすいため、心筋梗塞や脳梗塞、肺梗塞などによる死亡者数も多いといわれています。

▼熱中症と夏血栓の症状と違い
熱中症と夏血栓の症状と違い

熱中症と夏血栓の症状は非常によく似ています。
特に夏血栓の場合には、熱中症の症状も見られるため、注意する必要があります。

夏血栓には、熱中症には見られない症状が見られる場合があります。

血栓症は部位により症状が異なり、一度発症してしまうと重篤な症状になることも多い病気です。

それぞれの主な症状は、以下のようなものがあります。

【新薬開発の過程と期間】

熱中症 夏血栓
  • めまい
  • 吐き気
  • 立ち眩み
  • 大量の発汗
  • 頭痛
  • 筋肉の硬直い
  • 喋ることが困難
  • 手足の痺れ
  • 視点が定まらない
  • 身体をうまく動かせない
  • 息苦しさや胸が苦しむ
  • 呼吸困難
  • ※夏血栓は熱中症の症状も見られる場合があります

    熱中症と夏血栓の大きな違いは、熱中症は水分や塩分を摂り、熱を冷ますことで快方に向かいますが、夏血栓は、この方法では悪化する恐れがあるという点です。

    それぞれを見分ける確実な方法はありませんが、夏血栓においては、血管内の血液の巡りが悪くなることから、顔や腕などに痺れがあったり、心拍数に乱れが生じたりする場合もあります。

    ポイント

    厚生労働省によると、平成27年度の脳血管疾患・心疾患・肺炎に関する死亡率は33.3%あり、熱中症の死亡率0.1%と比べると非常に多いことがわかります。
    症状が見られたときの初動対応が重要です。

    出典:厚生労働省 参考資料:死因別の死亡率 参考資料:熱中症による死亡数
    ▼熱中症と夏血栓の対処方法は?
    熱中症と夏血栓の対処方法は?

    熱中症の場合は、避暑地で体温を下げ、塩分や水分を補給することですが、夏血栓の場合には、これらが命取りになる可能性もあります。

    熱中症の場合は、自分では体温調節ができなくなっているため、涼しい場所へ移動させ、できる限り楽な姿勢(横になる)にすることが重要です。

    また保冷剤や氷などをタオルで巻き、首筋や脇の下などを冷やして体温を下げてあげることも効果的です。

    夏血栓の場合は、血管内に血栓ができているため、これを溶かす必要があります。
    熱中症のように身体を冷やしてしまうと、血栓をさらに固めてしまい悪化する場合もありますので、注意する必要があります。

    血栓を溶かすには「t-PA」といわれる脳梗塞の治療に使われる薬がありますが、すぐに用意できるものではありません。

    血栓は血液の流れが悪くなる症状ですので、楽な姿勢にして気道を確保(呼吸を楽にする)することが大切です。

    もし倦怠感や頭痛、体に痺れを感じたら無理をせず、近くの病院へ受診するようにしましょう。

    ▼熱中症と夏血栓の予防と対策
    熱中症と夏血栓の予防と対策

    暑い時期に、特に注意しなければならないのが脱水です。

    体の中の水分が不足してしまうと、熱中症や夏血栓による様々な健康障害のリスクが増加します。

    脱水対策としては、こまめな水分補給があります。
    体から流れ出る汗は、水分のほかにナトリウムなどの電解質も含まれており、これらを意識して水分補給をするようにしましょう。

    水分補給以外には、バランスの良い食事を心がけ、暑さに負けない体づくりをしましょう。

    血栓に対しては、普段から血液をサラサラにする食生活を意識することも心がけておきましょう。

    血液をサラサラにする代表的な食べ物
    納豆

    納豆に含まれるナットウキナーゼが血栓を予防する作用があるといわれています。

    ビタミンC

    柑橘類や果物に含まれています。

    ビタミンE

    落花生やアボカドなどに含まれています。

    ポリフェノール

    ぶどうや赤ワイン、緑茶や紅茶などのカテキンにも含まれています。

    クエン酸

    梅干しやジャガイモ、柑橘類などにも含まれています。

    DHAやEPA

    アジやサバなどの青魚に含まれています。

    就寝前の飲酒に注意

    また、お酒を飲まれる方は就寝前の飲酒に注意しましょう。

    お酒には発汗作用や利尿効果があるため、就寝中に血液中の水分が失われていきます。
    脱水症状の原因にもなり、起床とともに倒れてしまう可能性もあります。

    室内においては、エアコンや扇風機を使い、室温と湿度を快適に保ちましょう。

    ただし夏血栓の場合には、快適な状況下にあっても、パソコン作業のような長時間同じ姿勢でいることで、血栓ができる原因にもなりますので、ストレッチや休憩をこまめにとるようにしましょう。

    他にもニコチンと一酸化炭素は血栓症のリスクを上げてしまう原因のひとつです。喫煙者は特に配慮する必要があります。

    普段からバランスの良い食生活を心がけ、暑さと脱水対策を怠らず、暑い夏を乗り切りましょう。

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