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医療に関する専門用語を解説した用語辞典です。

鉄欠乏性貧血

貧血とは、血液中の赤血球の数やヘモグロビン(Hb)の濃度が低い状態をいいます。鉄欠乏性貧血は、鉄不足が原因で起こる貧血です。赤血球は臓器や組織に酸素を運ぶ細胞で、その中にヘモグロビンというタンパク質が存在します。ヘモグロビンは、酸素濃度の高い組織で酸素と結合し、酸素濃度の低い組織で酸素を手放す特性があり、肺で取り込んだ酸素を体の隅々に運んでいきます。このヘモグロビンを作るには、鉄が不可欠です。鉄欠乏性貧血では、鉄分の不足によってヘモグロビンの合成が障害され、貧血が起きます)。
原因として、(1)胃や十二指腸の潰瘍・炎症・痔・癌などによる消化管からの出血、月経や婦人科疾患による出血(出血=ヘモグロビンとして鉄が失われます)、(2)偏食による鉄分の摂取不足、(3)胃・小腸切除や胃炎、鉄吸収を妨げる薬物などによる吸収障害、(4)からだの成長や妊娠に伴う鉄需要量の増大などが知られています。一般的に、若い男性では胃や十二指腸の潰瘍や痔、女性ではダイエットによる鉄の摂取不足や子宮筋腫による月経過多が原因となることが多く、さらに男性女性ともに中高年以降では、胃癌や大腸癌が原因となることがあり、注意が必要です。
また近年、ヘリコバクター・ピロリ菌感染症の関与も指摘されています。 鉄以外の造血因子不足による貧血として、ビタミンB12や葉酸、腎臓から出るエリスロポエチン、銅など微量元素、内分泌系疾患によるホルモンの不足などがあります。