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医療に関する専門用語を解説した用語辞典です。

十二指腸潰瘍

十二指腸潰瘍とは、十二指腸の入り口である球部の壁が傷つく病気です。主にストレスによる胃酸過多によって、球部の粘膜が傷つけられることで発症します。比較的若い方に多くみられます。また最近ではヘリコバクター・ピロリという細菌が、十二指腸潰瘍の発症や再発に深く関係していることが指摘されています。

十二指腸潰瘍の原因

胃・十二指腸潰瘍の成因のうち、ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)に由来するものが十二指腸潰瘍で95%、胃潰瘍で70%前後とされています。ピロリ菌以外の成因として重要なのは、薬剤、とくに非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs:エヌセッド)です。アスピリンが最も有名ですが、日本ではアスピリン以外でも多数のエヌセッドが関節リウマチやかぜなどの治療に使用されています。
 これらの薬剤は、胃酸から胃粘膜を守るうえで重要な役目をしているプロスタグランジンの合成を抑制する作用をもっています。そのため、エヌセッドを服薬すると、胃の防御機構が障害され潰瘍を形成するのです。エヌセッドに由来する潰瘍の特徴は、上腹部痛などの症状を伴わない例が多いので、治療を受けないまま悪化して出血を起こしたり、難治性の潰瘍に移行する例が多いといわれています。
 現在、ピロリ菌とエヌセッドが胃・十二指腸潰瘍の2大成因といわれており、それ以外の原因によるものは、日本では5%を切るくらい少ないことが明らかになってきています。したがって、ピロリ菌とエヌセッドに対する対策が確立されると、胃・十二指腸潰瘍の治療および予防が飛躍的に進歩すると考えられます。

十二指腸潰瘍の症状

みぞおちの痛み、重苦しさなどが、空腹時に起こります。食事をすると一時的に症状が軽くなります。また十二指腸潰瘍部からの出血で、吐血や下血(真っ黒い便)がでます。病気が重症になり、球部の壁に穴があくと、気の遠くなるような強い腹痛が出現し、その後、ショック状態となります。これを十二指腸の穿孔とよび、このような症状があらわれた場合は緊急に処置(手術)が必要です。